円卓会議レポート (「月刊 セキュリティ研究」 220号  掲載)

リスク化する世界と包括的な安全保障

photo:鈴木壮治シンクタンク一橋総研 代表
                一般社団法人一橋総合安全保障研究所 理事長
鈴木 壮治


安全保障に必要な包括性

自由、民主主義そして市場原理という普遍価値による米国主導のグローバリゼーションに反旗を翻した中東諸国などにおいて、過激思想のテロ集団が生まれた。

米国の相対的な力の衰えとトランプ大統領のAmerica Firstという自国優先主義は、今までの「力の秩序」を揺るがし、世界の不確実性とリスクを高めていく。

そのような世界では、国家同士の鬩ぎあいも先鋭化し、また国家間、多国間の利害を巡る交渉は、多岐の分野で複雑に絡み合っていく。

放射能汚染を含んだ地球環境の劣化、インフルエンザの蔓延、グローバルテロ、核拡散そして食糧、エネルギー、通貨・金融に関わるリスクも、グローバル規模の拡がりをもち、複合的なリスクとして、各国の国民の安全・安心を脅かしている。

それらのリスクに加え、地政学的なリスクにも晒されている日本にとって、世界のさらなるリスク化は、その生存を脅かすものである。しかし、それらは日本だけでは解決できず、諸国間の協調的な連携が必要不可欠であり、一国平和主義の国家安全保障では限界がある。

国際的な協力的安全保障の輪に入っていくためにも、日本は、軍事に加え、国際金融、エネルギー、食糧など、グローバルに展開する分野を包括的に取り込んだ総合安全保障戦略を構築、主体性をもって、ダイナミックに実行できるようにしなくてはいけない。

総合安全保障の定義は画一されたものがないが、通常「軍事的な安全保障だけではなく、より広く、経済など他の分野も安全保障の対象として捉え、それらの包括的な安全保障の目的を実現するにあたって、軍事的な要素を最小限に抑え、非軍事的な要素を最大限に活用するという政策原理」と定義されている。

初めから、軍事分野への支出を極力縮小すると決めてかかるのではなく、権限・予算・労力の軍事と非軍事分野への分与は安全保障環境に応じて、包括的かつ柔軟にタイムリーに行うべきである。

軍事そして非軍事分野におけるリスクはグローバル化、多様化しており、安全保障の主体と客体も国家という国家安全保障だけでは対応できない。よって、国際的な協調的安全保障と国を超える概念として、人間を安全保障の客体と見做す人間安全保障がさらに大事になっていく。

「ヒューマン・セキュリティ」(松田ひとみ・大久保一郎・岩浅昌幸・柏木志保/医学評論社)が、2012年4月の国連総長による「人間安全保障」報告書の概要を下記のように紹介している。

      〇 紛争、自然災害、貧困などの脅威の多様化が指摘され、「恐怖からの自由」、「欠乏からの自由」、「尊厳を持って生きる自由」が人間安全保障の要素。
      〇 人間安全保障と国家安全保障は代替の関係になく、相互依存・相互補完の関係にある。
      〇 安全保障(人間が客体)と保護する責任は異なる。

人間安全保障は「欠乏からの自由」(非軍事分野に重点)と「恐怖からの自由」(軍事・テロ分野に重点)に分かれて定義されているが、その二つを包括的に取り込まないと、総合安全保障と連携して、下記のように多様化し、錯綜するグローバルリスクには対応できない。


朝鮮半島と南シナ海の軍事的リスク

オバマ大統領時代の北朝鮮に対するStrategic Patience(軍事力行使を選択肢から外す)の8年間、北朝鮮は核とミサイル技術を磨き、2月12日には、固形燃料を使った「北極星」(潜水艦発射弾道ミサイルSLBM)試射により、その力を誇示した。

それから間もなく、故金正日総書記の長男、金正男氏が殺害され、朝鮮半島は風雲急を告げている。

米国の大衆の雇用、生活を大事にする政策及びAmerica Firstにより、大統領に上り詰めたトランプ氏にとって、国民を北朝鮮による核の脅威に晒すことは許されない。

軍事と経済を連系させた米国のGrand Strategyは、共和党と民主党の「対峙」を超えるものである。

例えば、共和党ジョージ・W・ブッシュ政権によるイラク侵攻も、その前の民主党クリントン政権のイラクを民主化する「イラク解放法」(1998年)に起因する。

民主党カーター政権から始まったグローバル金融資本主義は、その後の共和党・民主党政権下においても、ワシントン・コンセンサスを支えるものとして、その勢いを増してきた。

ワシントン・コンセンサスとは「IMF、世界銀行および米国財務省の間で広く合意された対外経済戦略で、小さな政府・規制緩和・市場原理・民営化を世界中に広く輸出し、米国主導の資本主義を押し進めるもの」とWikipediaが紹介している。

米国は、新自由主義的経済とグローバル金融資本主義のベースは、諸国の経済・金融システムの自由化・市場化とし、それを支える「基礎インフラ」軍事的安全保障体制を主導してきた。

たとえ、トランプ大統領であっても、このような米国のGrand Strategyに抗うことはできない。彼のDealは、軍事と経済を連系させたものでありながら、確固とした政治的イデオロギーが無く、その比重を経済にかけたものと言える。

トランプ大統領の対中国Dealは力関係で左右される。その米中の力関係は戦略核バランスでかなり決まってくると考える。

現在、戦略核の弾頭数は米国が7000発で中国が250発、また、中国は米国を攻撃できる戦略爆撃機を有していない。その「不利」を打開するのがSLBMである。

しかし、中国のSLBM JL-2の射程距離は7500キロメートルなので、アラスカまでしか届かず、第二撃力(相手国から核の先制攻撃を受けた場合、残存している核ミサイル,核搭載有人機などを用いて,相手国に直ちに報復攻撃を加えられる能力).として機能できない。よって、中国は潜水艦でできるだけ米国本土に近づく必要がある。その展開を可能にするのが南シナ海北部にある海南島の三亜基地である。

南シナ海を支配するために重要なスカボロー礁(西沙諸島、南沙諸島そしてスカボロー礁を結ぶことにより、三角形の海域を抑えることができる)を埋めようとする中国を抑止するために、昨年の4月に、米国は戦車攻撃機を中国の測量船の上に飛ばした。

中国を牽制するには、東南アジア諸国の協力が必要である。しかし、昨年の7月のアセアン外相会議の共同声明では「南シナ海問題をめぐる仲裁裁判所の裁定」には触れずじまいだった。

また、昨年の9月には、露中両海軍が南シナ海で、過去最大の合同軍事演習を実施した。

トランプ政権下の米国国防総省は、2月18日に米原子力空母カール・ビンソンと他の艦船からなる戦闘部隊が南シナ海に入ったことを明らかにした。

南シナ海に対する米軍の最大の軍事拠点は沖縄(南シナ海より、約2000km)である。南シナ海で米中が軍事衝突した場合、米国の同盟国として日本は「知らんぶり」をすることは許されない。

それを避けるためにも、アジア太平洋の平和秩序を護るため、主体性をもって、政治、経済、外交・安全保障の分野におけるアセンアン諸国、オーストラリアそしてインドなどとの協調的連携を深めていくべきである。


食のリスク

オーストラリアは、日本とEPA(経済連携協定)を締結し、牛肉輸入関税引き下げにより、日本への牛肉輸出を増やしている。

そのようなオーストラリアの「勢い」に危機感を募らせ、TPPに期待していた米国の牛肉と豚肉の生産者団体は、梯子(TPP)を外したトランプ大統領に、日米FTAの早期交渉入りを要請している。

我々が憂慮すべきは、America Firstの掛け声のもと、TPP以上に、日米FTAが国民の食に関わるリスクを高めることである。

TPPに関する議論では、少なくとも下記が識者により指摘されている。

      〇 ISD条項により、「遺伝子組み換え不使用」という任意表示が訴訟の対象となる。
      〇 モンサントは、日本の関税撤廃と規制撤廃を視野に、日本でのGMの小麦・米・野菜商業栽培を虎視眈々と狙っている。
      〇  FDAは、GMサケ(成長ホルモンが出続けるように遺伝子操作)の食品(GMOとしての表示の義務は無し)としての販売を許可。よって、米国基準を受け入れとなると、GMサケが表示無しで日本に輸入されるリスクがある。

忘れてはならないことは、オバマ政権下でのTPP交渉と並行して行われた「日米二国協議」に関わる交換文書中の「衛生植物検疫」項目により、収穫前及び収穫後に使用される防カビ剤、食品添加物、ゼラチン、コラーゲンで何らかの同意がされたことである。

それにより、日本では禁止されている収穫後農薬を認め、食品添加物の増加も許し、米国からの食品を殆どフリーパスで輸入する道を拓いてしまうことに、強い危惧を持つ。

一方、EUと米国では、食品の安全とtracking(追跡)を求める規制が施行され、食品業界では、サプライチェーン全体を通じて使われるデータプラットフォームの統一や、最新データの分析技術に関心が高まっています。我々もその動きに乗り遅れ無いようにしなくてはいけない。

食の安全は、食料自給率の低下という日本の生存に関わるリスクを合わせて、真剣にその対応を行うべきである。


グローバリゼーションによるリスク

「新自由主義経済思想によるグローバリゼーションが強力に推進され、その人為的行為に起因する「リスク社会(下記参照)」の深刻度が増している。

国民安全保障に密接に繋がる政治・金融経済などの決定・実行は、少数のパワーエリートのみが行っている。大衆は、自分たちの関与が許されなかった決定から派生したリスクやコストなどの負担だけは押し付けられていることへの不満を抱えている。

リスク社会: 豊かさを生み出す近代産業社会が、同時に様々なリスクを生み出し、これを人々に分配して、我々の生命と社会関係をむしばむ。riskとは、人が何かを行った場合、その行為に伴って起こる危険を意味する。事故や災害など危険な出来事を表すdangerとは異なり、riskは何らかの意思決定(人為的な企て)から帰結する危険を意味する。リスクの類型には、地球温暖化や生態系の破壊など環境的リスク、遺伝子操作や原子力発電や食品添加物など技術的リスク、および治安の悪さや就労形態の不安定化(失業、非正規雇用など含む)など社会的リスクが含まれる。
<ウルリッヒ・ベック『リスク社会』、1986>

グローバル多国籍企業・巨大金融資本に有利な交易・金融におけるグローバリゼーションは、新たな制度的枠組み(モノ・カネ・サービスが国境を自由に往来できるシステム)の構築と軌を一にしてきた。

まさしく、EUの「人・モノ・カネ・サービスの自由な移動」は、その具体例である。それは、EU諸国が国家主権のかなりの分を放擲することにより実現した。

独裁とは行政権力が立法府権力を代行する状態であり、行政を実質的に官僚が牛耳る場合は「官僚独裁」となる。欧州議会には、EUの官僚を監視できる十分な権力が無く、その結果の「官僚独裁」への不平不満がEU諸国に溜まり、それを英国が「EU離脱」で吐き出したと言える。

多国籍企業による「帝国的」な動き、すなわち、諸国家に、その国家主権の一部を放擲させ、脱領土的なグローバルネットワークを構築し、国民経済(ナショナリズム)を凌駕してきたことに、英国民は「EU離脱」で反撃した。

グローバリゼーションの恩恵に与ることができなかった層(中間所得層以下)の新自由主義経済思想への怒りとフラストレーションを、排他的で偏狭な「ナショナリズム」に昇華しようとしている政治勢力が、世界で勢いを増している。

憂うべきことである。自らの文化・伝統そして歴史に誇りを持ち、他のそれらも尊重するのが真のナショナリズムと考える。


トランプリスク

トランプ大統領が徐々にその正体を露わし始めた。その正体とは「ナショナリズム」と新自由主義経済思想の組み合わせである。また、彼の言う「Deal」とは、金融・経済・交易における他国との交渉に、軍事安全保障カードを巧みに使い、America Firstを実現していくものである。

その一例が、日本でもそれなりのベストセラーとなった「米中もし戦わば」の著者ピーター・ナヴァロ氏を、新たに設けられた国家通商会議のトップに据えたことである。

ピーター・ナヴァロ氏は「我々は、中国製品を買うたびに、中国の軍事力増強に手を貸している」とし、中国の軍事力強化を回避するために、為替操作を止めさせ、対中貿易赤字をリバランスさせる必要性を訴えてきた人間である。

そのようなトランプ政権に対して「米国の対日防衛義務を定めた日米安保の第5条の尖閣諸島への適用の確認をお願いします」という我々の政権では、既に「Deal」の勝負はついている。

憲法改正もできず、安全保障の根幹を米国に握られ、米国の金融経済政策に翻弄される日本では、外人株主比率が高い日本の大企業も、残念ながら「日本法人格」を捨てざるを得なくなる。

リーマンショックの後、2010年にオバマ政権が制定した金融規制強化法(ドッド・フランク法)の見直しに向けた大統領令に、トランプ大統領は署名した。

同法は下記を骨子とする。

      〇 銀行が自己資金で、リスクの高い取引を行うことを禁ずる(ボルカールール)
      〇 大手金融機関に高い自己資本比率を求める。
      〇 金融機関へのストレステストの実施

金融規制緩和により力を取り戻した巨大金融資本が、グローバル資本システムの中核に復帰することにより、生産、労働そして実物経済取引を従えていくことになる。

トランプを大統領に持ち上げた人達は、白人労働者層、下位中間層、地方の大学教育を受けていない層で、新自由主義経済で周辺化した人々です。明確な政治理念を有さないトランプ大統領ならではの「支持層と新自由主義的金融経済政策の矛盾」だが、景気が悪化し、失業率が高まれば、一気にその矛盾が爆発し、トランプ政権は窮地に追い込まれる。

リスクを取らなければリターンが無い厳しい資本主義の掟の中、生き抜いてきたトランプ大統領にとって、America Firstは、米国の比較優位性である軍事力、ドル基軸、投資銀行などのノウハウなどを巧みに使い、これからのリスクが高まる世界経済で儲けようという「旗印」である。

米国の軍産複合体の利害に忠実なトランプ大統領の考えと戦略は、ブッシュJr.政権下で猛威を振るったネオコンに酷似している。ネオコン同様、トランプ大統領は親イスラエルであり、メキシコ国境沿いに建設される「トランプの壁」は、イスラエルが対パレスチナ対策として建設している「分離壁」を参考にしたと言われている。

トランプ政権は、新自由主義経済を受け継ぐものであり、その大企業重視、規制緩和路線、またウォールストリート出身者を金融・経済関係閣僚に配置しており、交易、サービス、知的所有権などの分野における対日交渉において、TPP以上に米国に有利な条件を打ち出してくると予想される。

冷戦終結後も、日本は自立した主権国家としてのNational Grand Strategyを構築、実行することなく、「憲法9条と日米安保の組み合わせ」という「国体」(米国追従)に甘んじてきた。

軍事安全保障を経済・交易・金融などの交渉の梃(leverage)にするトランプ大統領は、日本に国家としての主体性を問うものでり、日本にとっては自立を取り戻すチャンスでもある。


情報テクノロジーが引き起こすリスクとチャンス

情報通信テクノロジーの急速な進化は、双方向に人々・組織を繋げる情報通信ネットワークを、地球を絡みとるように広げた。その情報通信ネットワークによる個人情報の収集とそのビッグデータ化が進んでいるが、危惧すべきことも起こっている。

米国機関のやりたい放題の情報収集を英ガーディアン紙などの協力を得て公表したエドワード・スノーデンは市民の自由な領域を侵す米国情報機関を「米国憲法に対する行政府による一種のクーデター」と考え、告発に踏み切った。

プリズムプログラムなどにより、FacebookのようなSNSも含めて、大手情報メディア通信産業に情報提供を求めたり、密かにケーブル回線から情報を盗んだりして集めた国内外の膨大な個人情報を解析して、疑わしい容疑者を炙り出すことが恒常的に行われていたのだ。

ポータルサイトでインターネット空間のある領域を「領地」のごとくにしているのが、Google(インターネット検索大手)そしてFacebook(10億人もの会員を持つSocial Networking Service)などの「情報ネットワーク権力」である。

例えば、Googleは、Web(インターネット網)利用者の行動を効率良く把握する機能を高めている。2013年3月より、Google は、Google検索他、Gmailなど60種類以上のサービスを利用者ごとに一元化し、利用者がアクセスしたデータを統合し始めた。

「情報通信ネットワーク権力」は趣味、趣向、さらには医療及び予防医療を目的に、個人情報(Big Data)が集めている。その結果、個人の心身の情報が丸裸にされ、その情報を使って、効率良く、ある意図を個人の意識に染み込ませ、場合によっては、私益による意図を人の心まで入り込ませ、社会秩序を捻じ曲げる程の生政治的権力を「情報通信ネットワーク権力」は持つ。

その「権力」により、Webを利用する個人の「どのサイトを見たか」が密かに集められ、追跡され、監視されるリスクが高まることを意味する。それは、囚人からは見えないが、看守からは絶えず監視され得るパノプティコンそのものである。

パノプティコンとは、円形に配置された収容者の個室が多層式看守塔に面するよう設計された19世紀フランスの全展望監視装置である。

権力による監視ではなく、民間同士のモニタリングで個人情報、取引情報を守ろうという思想を実現したのが、自立分散型組織としてのP2PTechnology(情報を中央に集約せず、分散して保管する)とその上で特定の数値・取引内容などを安全に交換可能とするBlock Chain技術である。

それを使っているのが仮想通貨である。大方の人々にとって、Block Chain技術を駆使したBitcoinなどの仮想通貨(Cryptocurrency)は、「別次元」のものと思われるが、Block Chain技術は社会を変革する潜在能力を持っている。

前述のように、Block Chainの根幹を成すP2PTechnologyは、中央集権的なサーバーを要さず、インターネット上に分散して存在する「帳簿」によって、マネーの所有と移動を共同管理するものである。

よって、Bitcoinが代表する仮想通貨は、国家の通貨・金融政策と関係無く、国境を超えて流通し始めており、中央銀行を通じて、国家が管理する「法定通貨」を脅かす存在にもなり得る。

国家もそれに対応してきている。

例えば、日本では、昨年の5月25日、参議院本会議でBitcoinなどの仮想通貨に対する規制を盛り込んだ「改正資金決済法」が成立し、今年の6月初旬頃までには施行される。

つまり、国は、仮想通貨を法定通貨に換金するということで、それに携わる事業者、取引所を、金融庁管轄の「登録制」の対象にし、国家の法律や行政の下に置くことに成功したと言える。

「中央集権的強圧政治」への抵抗として、技術者集団が、Block Chain技術により、自律分散的な経済社会システムを創り出すことも想像される。

Public Block Chain技術が支えるマネーと金融システムなどの「社会的共通資本」は、中央集権的に統御されるではなく、高度な知見と見識と倫理観を持った専門家がfiduciary dutyすなわち規範的責任を基に運営されるのが本来の姿と考える。

P2PTechnologyとBlock Chain技術は、企業主導の資本主義を大衆が取り戻すクラウド(大衆)主導資本主義への道を切り拓くものであり、安全保障の概念は、もともと王権を規制し人民を護る、王権に対する大衆の権利であったことを想起させる。

雑誌「月刊 セキュリティ研究」(220号掲載)

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